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【“天才”回顧録】早熟系FWだった森崎嘉之。「努力しなくても、なんでもできた」
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市船では3年次に選手権を制覇。自身は決勝でのハットトリックを含め、大会通算8ゴールを挙げて得点王に輝いた。(C)SOCCER DIGEST

 

 ここでは、高校時代に市船のエースとして名を馳せ、3年次の選手権では優勝を飾り、得点王にも輝いた森崎嘉之の蹴球ストーリーをお届けする。

 

――◆――◆――

 

 いわゆる早熟系だったと思います。自分で言うのもなんですが運動神経の良い子どもでしたね。例えば、バク転も2、3回練習すれば、すぐできちゃう、みたいな。

 

 身長も大きくて足も速かったし、小4から始めたサッカーも、努力しなくても、なんでもできてしまうというか。小6までに右足のキックはカーブもサイドチェンジもノンステップで蹴れるようになって、高校時代の名波浩さん(左利き)を見て真似していたら、中1で左足も完璧に蹴れるようになりましたね。

 

 ボールを蹴るのが楽しくて、キープしたら、まずは一番遠くの味方を見ていました。そこに蹴れるし、受け手もフリーだし。どうすれば一番チャンスになるか。それもよく考えていたから、遠くのフリーの選手を探していたっていうのもあります。そこにバシッと通せば、見ている人も「おっ」という反応をしてくれる。それも嬉しかったですね。

 

“蹴る”という意味では、シュートも打つ前にビジョンが浮かんで、狙っていないけど凄いコースに決まるという。これは今でも理由が分からないんですけど(笑)。

 

 人が苦労して習得することを簡単にできたから、それ以上のプレーを見せたいとは常に考えていました。今でこそ、シザース(ボールをまたぐフェイント)はそれほど珍しくはないけど、昔まだ誰もやっていない時に、テレビで海外のプロの選手がやっているのを見て、習得しました。自分は右利きだけど、右足でまたいで、左足でドンと打つのが得意でしたね。

 

 高校は市船に進学しましたが、やれる自信しかなかったです。周りの人と比べても、「俺、全然できる。間違いなく俺のほうが上手い」って。そもそも、他の誰かを見て凄いと思ったことがなかった。それぐらい、自分に自信があったんでしょうね。

 

 練習は一生懸命にやりましたよ。でも、走るだけの練習は少し手を抜いていたかな(笑)。やっぱり、ボールを蹴るのが楽しかったので。ただ走るだけって、退屈なんですよね。サッカーをやるなら楽しく。それはずっと大事にしてきたことですね。

 

 プロになった後、思うような活躍ができなかったのも、サッカーが楽しくなくなったからだと思います。前からディフェンスしろと言われても、それで体力を削られて、FWとしての仕事をする時に全力を出せないのも、ちょっと違うなって。守備をそこまでしていないのに試合に出られる他の選手もいて、それもまた面白くなくて。誰かのせいにしたかった部分もあったと思います。そうこうしているうちに、フェードアウトした感じですね。

 

 今は、サッカースクールで子どもたちを教えています。勝ち負けにこだわらず、技術向上を重視。しっかりとしたスキルさえあれば、ポゼッションでもカウンターでも、どんなスタイルのサッカーにも対応できるはずですから。

 

 高校時代に、布(啓一郎/現・松本監督)先生に教わったことも思い出しながら指導しています。指導者によくある傾向で、わりと上手な子には、言わなくてもできるからそこまで教えたりしないと思うんですけど、布先生は違いましたね。自分のシュート練習も付きっきりで見てくれたりする。本当に“育てられた”という感じです。

 

 自分も指導する立場になって、できない子だけでなく、できる子にもいろいろと言ったり、寄り添うようにしています。もっと上手くしてあげたいって。プレーの否定はしないで、「あと3通りぐらいパターンがあるけど、分かる?」とか、そういう投げかけをして、引き出しを増やすようにする。布先生も、そうやって自分に接してくれたので。

 

 とにかく、単純に上手くなってほしいし、“違い”を作れる選手を育てていきたい。技術をちゃんと身に付ければ、たとえプロになれなくても、ずっとサッカーを楽しめる。せっかく始めたサッカーを、途中でやめてしまう人もいて、それはもったいないと思うんですよ。草サッカーでも「上手いね!」と言われたら嬉しいじゃないですか。大人になっても、ボールを蹴って、楽しんでほしい。そういう想いで、指導にあたっています。


取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

 

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