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横浜FMサポの発煙筒&花火「極めて危険な行為」もクラブに罰金処分なし…Jリーグ説明「クラブの瑕疵はなかったと判断」
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 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は7日、7月5日にニッパツ三ツ沢球技場で行われたJ1第23節の横浜FC対横浜F・マリノスの“横浜ダービー”で横浜FMサポーターが発煙筒を投げ入れるなどの禁止行為を行った問題で、裁定委員会に意見照会を行った結果、横浜FMに「厳重注意」を行ったと発表した。Jリーグ規約違反による罰金などの処分は下されなかった。

 

 Jリーグの調査によると、一部の横浜FMサポーターは7月5日の横浜ダービーの試合前、ニッパツ三ツ沢球技場の場外で隊列を組み、進入が禁止されている規制線を越えて行進を実施。キッチンカーが並んだ観戦者の多いエリアに向かい、発煙筒を投げ入れたり、ロケット花火を発射したりした。その結果、投げられた発煙筒のうち1本がキッチンカー付近の看板を直撃。ロケット花火がスタッフの顔や肩に当たって衣服を損傷するという被害も出た。

 

 こうした違反行為はタオルマフラーや目出し帽にとって顔が隠れた状態で行われており、実行者の特定が困難であったため、スタジアム内に危険物が持ち込まれる可能性があるとして、全てのビジター側来場者に緊急的な手荷物検査を実施。その結果、開門時間が大幅に遅延し、ビジター側来場者の入場がキックオフ後となった。

 

 大事故にもつながりかねない異例のサポータートラブル。Jリーグも7日に発表した声明で「本事案は周囲の来場者の身体の安全を脅かし、重大な被害につながりかねない極めて危険な行為であったうえ、目出し帽等で実行行為者の得点を困難にするなどの計画された悪質性を持つものであったと捉えております」と糾弾した。しかし、Jリーグが裁定委員会に意見照会を行った結果、クラブへの処分は見送られる形となった。

 

 Jリーグによると、横浜FM側からは「日頃より主要サポーター団体のリーダー各々との対話の機会が持たれ」ていたといい、ダービーに臨むにあたっても「チームとしての戦況が芳しくない状況下でダービーマッチを迎える実情を踏まえた対話や確認が行われていた」と指摘。加えて当日は当該サポーター団体に帯同するスタッフを倍増するなどの対応を取っていたことから、Jリーグ規約第51条2項2号に定められた「試合の前後および試合中において、ビジタークラブのサポーターの秩序ある適切な態度を保持させる義務」への違反はなかったとした。

 

 また横浜FMはサポーターの行為発生後、来場者の安全確保のための警備体制の強化や手荷物検査などにビジタークラブとして協力。その後、8月下旬までに行進隊列に関わった4団体の活動禁止、サポーター73人への無期限入場禁止措置を講じた。さらに再発防止策として、一定期間は横断幕など応援グッズの使用禁止措置を行い、現在も横断幕の事前申請制を採用する措置を取っている。さらにキックオフまでに入場が間に合わなかったビジター側来場者に対し、チケット代の返金を実施したという点も考慮された。

 

 こうした横浜FM側の事前、当日、事後の対応を受け、Jリーグ側は今回の横浜FMへの対応について「クラブにとって事案の発生の予見は困難であり、見方を変えれば悪質な行為の被害者的な側面もありながら、サポーターの違反行為の危険性や悪質性と、それらが周囲に与えた影響に鑑み、横浜F・マリノスを厳重注意とすることを決定した」と結論づけた。またホームクラブの横浜FCの対応ついては「違反は認められなかった」とした。

 

■過去には多額の罰金事例も…


 サポーターによるトラブルを巡っては2022年7月、Jリーグから浦和レッズに2000万円の罰金処分が下された例もあった。当時はコロナ禍の試合運営体制が取られていたなか、浦和サポーターは同年5月にホームスタジアム近隣の場外、同年7月にアウェースタジアムで「声出し禁止」と「マスク着用」の違反行為を行っており、浦和はJリーグ規約第51条「観客にホームスタジアムおよびその周辺において秩序ある適切な態度を保持させる義務」に違反すると判断された。

 

 Jリーグの窪田慎二執行役員は7日、都内で開いたブリーフィングの場で報道陣の質疑に応じ、浦和への処分が行われた当時と「判断の基準が変わっているということはない」と強調した。その上で「クラブがなすべきことを事前、当日、事後に行っていたかどうか、それが最大限であったかを踏まえて、ホームクラブあるいはビジタークラブの責任があったかないかの判断をしている。その観点で今回はクラブの瑕疵はなかったと判断した」と説明した。

 

 その一方、Jリーグが掲げる「安心、安全なスタジアム」への信頼が損なわれたのも事実。窪田執行役員は「クラブがどこまで何をやれば安心、安全が守られるかという意味では、もしかするとやるべきことは尽きないかもしれないし、どこまでやるべきかというのもある。逆にどこまでやっても防げないものもあるかもしれない。できる限りのことを事前、当日、事後にできていたのかを情報収集しながら、それをできていたクラブに対して何か処分をするのは違う。ただそれを怠っていたり、放置していたりした場合には責任を問うていかないといけない」とクラブの責任のあり方を説明。サポーターの行為によって運営上の被害や不利益が生じたケースにおいては、クラブの管理運営責任のみではなく、法的措置を辞さない方針を強調した。

 

 今回、Jリーグは横浜FMに対して「サポーター管理の厳格かつ慎重な体制構築と、違反行為者に対する法的手段による責任追及を強く求めるものとする」と通知。すでに横浜FCと横浜FMが中心となって弁護士らと連携し、「法的手段を視野に」対応してるといい、Jリーグ側は「クラブの姿勢を支持するとともに、円滑に進行するための支援として、調査結果の提供やリーグの顧問弁護士によるサポート等、ガバナンスに配慮の上、取り得る最大の支援を講じていく方針」としている。

 

(取材・文 竹内達也)

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