ニュース > 日本 > 本文
べスト16進出の立役者。U-20日本代表の技巧派・山田康太が世界舞台で見せたハードワーク
{by} www.goal.com

 

一進一退の攻防の末のスコアレスドロー決着で2位通過。29日、U-20日本代表はU-20ワールドカップグループBの最終戦でイタリアと対戦。1勝2分の無敗で「死のグループ」を踏破し、見事、2大会連続の16強入りを果たすこととなった。一筋縄ではいかなかったグループステージ3戦で攻守両面に目を惹いた存在がいる。MF山田康太(横浜F・マリノス)だ。

 

■トリコロール育ちのテクニシャン

 

最終戦は難しいシチュエーションだった。すでに2勝して引き分けで問題ないというスタンスを取る、そしてこのスタンスを取らせたら恐らく世界一であるイタリアの土俵に乗り込むしかない状況である。逆に日本は負ければ敗退の可能性もあるだけに、「最悪、引き分けでもいい」(MF山田康太=横浜F・マリノス)ということも選手たちの頭の中にはあった。リスクを負い過ぎるわけにはいかないが、リスクを負わずに点を取れそうな気配は時間の経過とともに薄まってしまっていた。

 

その中でも攻守両面で目を惹く選手がいた。山田である。しかもこの試合だけ目を惹く存在だったわけではない。グループステージ3試合を総合してMVPを一人選べと言われたら、個人的には山田を推したい。そのくらいこの世界舞台で、横浜FMの育成組織育ちのテクニシャンは輝きを見せている。

 

ボールを持てば技術で変化をつけ、オフ・ザ・ボールでは「常に相手を見ながら」位置取りや動き出しを修正。「相手の形とか、やり方をすごく見ているタイプだと自分では思っている」という言葉どおり、相手にとっての“嫌なところ”で巧みにボールを受けて組み立て役に。基本ポジションは左サイドのMFだが、機を見てインサイドスペースへと入り込んで、サイドバックのための「道」を作り、中で受けて起点にもなる。

 

「(相手の)サイドバックが本当にどうしたらいいんだか迷うというか、自分が結構中央の位置を取ることによってサイドバックが来てくれるなら、今日だったら(左サイドバックの東)俊希にすごく高い位置を取らせることができて相手の陣形もすごく下げられるし、高い位置でボールを回せる。そういうことも含めて自分がアクセントになれたらいい」

 

このあたりの感覚は、影山雅永監督も指摘するように、横浜FMでいわゆる「偽サイドバック」としてプレーした経験も生きているのだろう。「外に張るか、中に入るか」の判断が絶妙なのだ。こうしたチャンスの起点となるようなプレーだけでなく、第1戦・エクアドル戦はゴールも決めたし、イタリア戦ではCKからの強烈なボレーシュートという形であわやゴールかというシーンも作り出していた。

 

■タフなハードワークを3試合貫徹

 

ただ、今大会の山田にスペシャルなモノを感じるのはこうした技巧派、頭脳派としての顔だけではない。「本当によく走ってくれている」と指揮官も絶賛するとおり、タフなハードワークを3試合にわたって貫徹していることだ。テクニシャンにありがちな“足元プレー待ち”のようになることはなく、時には無駄走りもいとわない。

 

「詰まったときは相手の嫌がる背後へのランニングを自分がすることで、ボールが出なくてもインサイドが空く。(その構造を)自分でも理解しているので、短いスプリントで相手を釣って、実際に自分のところに来たらそれはそれでいいという形をサボらずできている」(山田)

 

攻撃だけでなく守備のハードワークも目覚ましい。このチームは、4バックを横方向でコンパクトに保つ戦術をとっているため、サイドハーフには絶対的な運動量が求められることになる。本人が「サイドバックが出なくてもいいように、自分が走る」と言うとおり、ここまでその役割を献身的にこなし続けた。

 

3戦目となるイタリア戦は「試合に臨むパワーが落ちていた。正直、後半10分くらいで足に来ていた」(山田)とさすがに疲れもあったようだが、それでもここぞの場面ではしっかり戻って穴を開けなかった。

 

「試合前も本当に…うん…気持ちもすごく高ぶるし、日本を代表して戦うというのはこういうことなのかなと少しずつ感じている」(山田)

 

アジアの最終予選ではベンチを温める時間が長く、選手として完全燃焼できなかったのは確かだろう。ただ、だからこそ3試合連続して先発で起用され、指揮官から明確な信頼を示される現状に奮い立つものがないはずもない。何より世界中の猛者たちと真剣勝負を重ねられるこの状況自体、プレーヤーとしての幸せを感じるはずだ。

 

そこでちょっと最後に聞いてみた。「W杯、楽しいでしょ?」。

 

「はい、楽しいです」

 

世界各国との熱く激しい真剣勝負の連続が、この若武者を確実に化けさせつつある。

 

◎山田康太(やまだ・こうた)1999年7月10日生まれ、19歳。175cm/68kg、神奈川県出身。大越SSS-横浜FMプライマリー-横浜FM.Jrユース-横浜FMユース。J1通算8試合出場1得点。

 

【U-20W杯結果・日程(日本時間)】

グループステージ第1節:5月23日(木)27時30分 日本1-1エクアドル
グループステージ第2節:5月26日(日)22時30分 メキシコ0-3日本
グループステージ第3節:5月29日(水)25時 イタリア0-0日本
ラウンド16:6月4日(水)24時30分(5日午前0時30分)日本 vs グループF2位

 

関連ニュース
ヴィッセル神戸 VS 鹿島アントラーズ 予想、対戦成績、最新情報2025/10/17

ヴィッセル神戸 VS 鹿島アントラーズ 試合予想 ヴィッセル神戸は前回のアウェイリーグ戦で敗れ、これまでの好調を維持できませんでした。 しかし、チームはここ最近、攻守両面で安定したパフォーマンスを維持しており、ホームでの成績も非常に安定しています。 鹿島アントラーズは今シーズン、非常に好調で、現在リーグ上位に位置し、リーグ戦直近6試合無敗と絶好調です。 攻守両面で強力なチームであり、アウェイでのパフォーマンスも目覚ましいものがあります。 対戦成績を見ると、ヴィッセル神戸が明らかに優位に立っていますが、好調な鹿島アントラーズを相手に、楽勝するのは非常に難しいでしょう。 鹿島アントラーズは無敗を維持すると予想されます。 試合予想:鹿島アントラーズ +0.5 7Mスポーツ 国際版APPにはプロ予想と素人予想が満載、もっと情報を手に入れるなら、ダウンロードして...

ヴィッセル神戸 VS 鹿島アントラーズ
{by} 7msaka.com
サンフレッチェ広島 VS FC東京 予想、対戦成績、最新情報2025/10/17

サンフレッチェ広島 VS FC東京 試合予想 サンフレッチェ広島は、Jリーグカップ2試合を終えたばかりで、最近は複数の大会でバランスを保っています。 このリーグ戦の後、AFCチャンピオンズリーグ・エリート戦に臨みます。 チームは現在5位ですが、2位との勝ち点差はわずか2で、上位進出への希望をまだ持っています。 FC東京とは過去6試合中5試合で好成績を収めており、心理的に優位に立っています。 FC東京は現在、降格圏で勝ち点10差で首位に立っていますが、シーズン終盤を迎えるにつれて降格のプレッシャーは徐々に薄れており、今後の試合で勝利へのモチベーションも低下しています。 サンフレッチェ広島は厳しい試合展開となっていますが、AHラインは依然として有利です。 そのため、ホームのサンフレッチェ広島の勝利が予想されます。 試合予想:サンフレッチェ広島 -1 7Mス...

サンフレッチェ広島 VS FC東京
{by} 7msaka.com
日本 VS ブラジル 予想、対戦成績、最新情報2025/10/14

日本 VS ブラジル 試合予想 日本は直近の親善試合3試合でわずか2引き分け1敗と、満足のいくパフォーマンスではありませんでした。 チームはこの3試合でわずか2得点4失点に終わり、攻守ともに低調なパフォーマンスを見せました。 ブラジルは親善試合で韓国に5-0で勝利し、チームの士気を大きく高めました。 ブラジルは直近4試合で3勝を挙げており、好調を維持しています。 AHマーケットでは、ブラジルに賭けるオッズとして-1.00のオッズを提供しています。 ブラジルの総合的な戦力優位性を考慮すると、今回は勝利を予想しています。 試合予想:ブラジル -1 7Mスポーツ 国際版APPにはプロ予想と素人予想が満載、もっと情報を手に入れるなら、ダウンロードしてご活用ください! 方法1.画像のQRコードをスキャンするとウンロードできます;方法2.下記のリンク先よりもダウン...

日本 VS ブラジル
{by} 7msaka.com
日本U-20 VS フランス U-20 予想、対戦成績、最新情報2025/10/9

日本U-20 VS フランス U-20 試合予想 日本(U20)は攻守とも素晴らしいパフォーマンスを見せ、グループリーグ3試合全勝しており、選手たちの士気は高い。 フランス(U20)はグループリーグ3試合で2勝1敗と、攻撃力は高いものの、守備が不安定だ。 日本(U20)は最近調子を上げている。 両チームともここまで非常にモチベーションが高いが、日本(U20)が無敗を維持すると予想する。 試合予想:日本U-20 0 7Mスポーツ 国際版APPにはプロ予想と素人予想が満載、もっと情報を手に入れるなら、ダウンロードしてご活用ください! 方法1.画像のQRコードをスキャンするとウンロードできます;方法2.下記のリンク先よりもダウンロードできます。 https://app.7msaka.com/international/index_en.html...

日本U-20 VS フランス U-20
{by} 7msaka.com
試合中の選手・スタッフへの接触やサポーター間の暴力行為…広島が違反行為2件に関する処分を発表

サンフレッチェ広島は7日、エディオンピースウイング広島で開催されたJ1リーグにおいて、観戦客の違反行為が2件確認されたと発表した。 1件目は9月12日のJ1第29節・京都サンガF.C.戦。サポーターシート(自由席)におけるホームサポーター間での暴力行為があり、当該者1名にサンフレッチェ広島・サンフレッチェ広島レジーナが出場する全ての試合(ホーム・アウェー問わず)への無期限入場禁止処分を下した。 2件目は10月4日のJ1第33節・FC町田ゼルビア戦。メインスタンドで観戦者による立ち入り禁止エリアへの侵入および試合中の選手・スタッフへの接触があった。当該者1名に対し、同じくサンフレッチェ広島・サンフレッチェ広島レジーナが出場する全ての試合(ホーム・アウェー問わず)への無期限入場禁止処分を科している。 クラブは今回の違反行為発生を受け、公式サイトで「いかなる理由があってもこのような行...

サンフレッチェ広島
{by} web.gekisaka.jp
横浜FMサポの発煙筒&花火「極めて危険な行為」もクラブに罰金処分なし…Jリーグ説明「クラブの瑕疵はなかったと判断」

日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は7日、7月5日にニッパツ三ツ沢球技場で行われたJ1第23節の横浜FC対横浜F・マリノスの“横浜ダービー”で横浜FMサポーターが発煙筒を投げ入れるなどの禁止行為を行った問題で、裁定委員会に意見照会を行った結果、横浜FMに「厳重注意」を行ったと発表した。Jリーグ規約違反による罰金などの処分は下されなかった。 Jリーグの調査によると、一部の横浜FMサポーターは7月5日の横浜ダービーの試合前、ニッパツ三ツ沢球技場の場外で隊列を組み、進入が禁止されている規制線を越えて行進を実施。キッチンカーが並んだ観戦者の多いエリアに向かい、発煙筒を投げ入れたり、ロケット花火を発射したりした。その結果、投げられた発煙筒のうち1本がキッチンカー付近の看板を直撃。ロケット花火がスタッフの顔や肩に当たって衣服を損傷するという被害も出た。 こうした違反行為はタオルマフラーや目出し...

横浜FM
{by} web.gekisaka.jp
名古屋MF中山克広が右尺骨骨折と診断…4日のC大阪戦で受傷

[故障者情報] 名古屋グランパスは7日、MF中山克広が検査の結果、右尺骨骨折と診断されたことを発表した。 中山は4日のJ1第33節・セレッソ大阪戦で負傷。今季はここまでJ1リーグ戦26試合、ルヴァンカップ1試合、天皇杯4試合に出場していた。...

中山克広
名古屋グランパス
{by} web.gekisaka.jp
横浜FC VS サンフレッチェ広島 予想、対戦成績、最新情報2025/10/8

横浜FC VS サンフレッチェ広島 試合予想 横浜FCは現在リーグ戦では降格圏に沈んでいるものの、Jリーグカップではクラブ史上初の準決勝進出を果たすなど、素晴らしい成績を残しています。 特に守備力は抜群で、最近のホームゲームでは目覚ましい活躍を見せています。しかし、攻撃面の弱さは依然として課題となっています。 サンフレッチェ広島は現在好調を維持しており、全大会を通して直近7試合無敗を維持しています。攻守のバランスが良く、アウェイ戦でも好成績を収めています。しかし、Jリーグカップでは不安定なパフォーマンスが続いています。 対戦成績を見ると、サンフレッチェ広島が絶対的な優位に立っています。しかし、彼らはFCチャンピオンズリーグエリート、リーグ、天皇杯、Jリーグカップの4つの大会に出場しており、Jリーグカップでの成績は他の大会に比べてはるかに劣っていることを考えると、この試合では横浜FCがホ...

横浜FC VS サンフレッチェ広島
Jリーグカップ
{by} 7msaka.com
「どんな立ち位置でも、チームが勝つために」U-20日本代表GK中村圭佑の献身…仲間に影響与える立ち振る舞い、甲子園指揮の父から刺激も

仲間のために、そして自分のために、U-20ワールドカップの頂点を目指す。U-20日本代表GK中村圭佑(東京V)は2023年夏からのチーム発足メンバーだ。「チーム全員がこの大会に懸けている。そのための準備をずっとやってきた。このメンバーで2年くらい一緒にやってきた。最後は結果を出して終わりたい」と語った。 U-20W杯のグループリーグで3連勝した日本は、決勝トーナメント進出を決めた。第3節・ニュージーランド戦の翌日はバス移動を経て午後から練習。ほぼ全員が軽めのリカバリーを行うなか、中村は高原寿康GKコーチとともに汗を流した。 たった1人しか出場できないGKは、常に厳しいポジション争いのなかにある。メンバー21人のうち20人が出場したが、中村のみが出場機会を得られていない。それでも「どんな立ち位置でも、どんな状況でも、チームが勝つために」。自らの出場機会を待ちながら、チームのための立ち振る...

中村圭佑
{by} 7msaka.com
浦和レッズ VS ヴィッセル神戸 予想、対戦成績、最新情報2025/10/4

浦和レッズ VS ヴィッセル神戸 試合予想 浦和レッズは深刻なスランプに陥っており、攻撃陣は極めて低迷し、数試合連続で無得点に終わっている。 しかしながら、ホームでは好調を維持している。 ヴィッセル神戸は絶好調で、AFCチャンピオンズリーグ・エリートとリーグ戦のバランスをうまく取っている。 浦和レッズはホームアドバンテージがある程度は支えになるかもしれないが、ヴィッセル神戸の強力な攻撃に打ち勝つのは非常に難しいだろう。 ここ最近の好調、堅固な守備、そして総合的な戦力優位性から、ヴィッセル神戸はアウェイでの決勝戦で勝利を収めると予想されている。 試合予想:ヴィッセル神戸 -0.25 7Mスポーツ 国際版APPにはプロ予想と素人予想が満載、もっと情報を手に入れるなら、ダウンロードしてご活用ください! 方法1.画像のQRコードをスキャンするとウンロードできま...

浦和レッズ VS ヴィッセル神戸
J1リーグ
{by} 7msaka.com