[6.12 EURO B組第1節 デンマーク0-1フィンランド コペンハーゲン]
欧州選手権(EURO2020)は大会2日目の12日、グループリーグ第1節を行い、B組のデンマークとフィンランドが対戦した。前半途中にはデンマークMFクリスティアン・エリクセンが突然意識を失い、救命処置のため試合が中断する悲痛なアクシデントが起きたが、搬送後に容態が安定したという知らせを受けて約1時間50分後に試合が再開。シュート1本で決勝点を奪ったフィンランドが1-0で勝利し、大会通算初白星を収めた。
2大会ぶり9回目の出場となったデンマークと、記念すべき初出場を果たしたフィンランドとの対決。試合は立ち上がりからデンマークが主導権を握ると、FWヨナス・ウィンドのミドルシュート、MFピエール・エミール・ホイビュア(トッテナム)のヘディングシュート、エリクセンのミドルシュートが次々にフィンランドゴールを襲った。
それでもフィンランドはGKルーカス・フラデツキーが立て続けにファインセーブを見せると、FWテーム・プッキへのロングフィードを使ったカウンター攻撃にトライ。DFダニエル・オシャウグネシーのロングスローも脅威となり、なかなかシュートに結びつけることはできなかったものの、強豪相手に堂々と渡り合っていた。
ところが0-0で迎えた前半43分、痛ましいアクシデントが起きた。デンマークの攻撃を牽引していたエリクセンが左サイドに流れてスローインを受けようとした際、突如意識を失ってピッチに転倒。デンマークの選手たちがすぐさま医療スタッフを呼び、試合が中断されることになった。
ピッチ上では胸骨圧迫などの救命処置が施され、その場を囲んだデンマークの選手たちは涙を見せながら手を合わせ、エリクセンの無事を祈った。またフィンランドの選手たちも、ピッチ脇から心配そうな眼差しで見つめていた。その後、エリクセンはストレッチャーに乗せられて病院に搬送され、選手たちは一旦ロッカールームに引き上げて長い中断に入った。
中断中にはフィンランドのサポーターからも「クリスティアン!」と無事を祈る掛け声が上がり、これにデンマークサポーターが「エリクセン!」と答えるやり取りがあった様子。そして試合中断から約40分後、欧州サッカー連盟(UEFA)からエリクセンの容態が安定したという発表がなされ、関係団体が試合続行の協議に入った。
その結果、中断から約1時間半後に試合再開が発表。UEFAによると「両チームの選手からのリクエスト」があったという。ウォーミングアップのため先にピッチに出てきたフィンランドの選手たちは整列してデンマークの選手たちを待機。拍手で迎え入れ、試合のムードを高めていった。
試合は前半残り4分からのスタート。デンマークは近隣の国立病院で検査中のエリクセンに代わり、MFマティアス・イェンセンを投入した。長い中断があったため、ハーフタイムは5分間で後半へ。スコアはそのまま0-0ながらも引き続きデンマークが主導権を握り、8分にはイェンセン、14分にはMFトーマス・デラネイ(ドルトムント)が惜しいシュートを放った。
ところが後半20分、先に試合を動かしたのはここまでシュート0本のフィンランドだった。MFグレン・カマラ、MFロビン・ロド、プッキが次々に絡んだ攻撃から左サイドにボールが渡ると、DFイェレ・ウロネンのクロスにFWヨエル・ポーヤンパロが反応。ダイビングヘッドでゴールに突き刺し、ファーストシュートが貴重な先制点となった。
初出場のフィンランド代表にとっては記念すべき大会初ゴール。それでもゴールを決めたポーヤンパロを筆頭にフィンランドの選手たちは笑顔を見せず、控えめなゴールパフォーマンスを披露。無念の離脱となった相手選手に配慮した。
一方、これで厳しくなったのはデンマーク。後半28分にはMFユスフ・ポウルセンがペナルティエリア内で倒され、PKのチャンスを獲得するも、右を狙ったホイビュアのキックはフラデツキーに阻まれる。また同36分には、左サイドを崩したDFヤニク・ベスターゴーアのクロスが相手ゴール前を襲ったが、分厚く守る守備陣を破ることができなかった。
最後までデンマークが攻め続けたが、フラデツキーを中心とする相手を崩せないままタイムアップ。悲痛なアクシデントに見舞われた一戦は、シュート1本を決勝点に結びつけたフィンランドに軍配が上がった。
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