「勝ててホッとした。でも…」青森山田の2年生エース松木玖生が異例の“同校決戦”後に漏らした想い
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同じ高校の2チームがファイナルで激突…「前半はセカンドの勢いが凄くて、飲み込まれる場面があった」

 

 

 10月4日に青森山田高グラウンドで行なわれた高円宮杯JFA U-18 サッカースーパープリンスリーグ2020東北決勝の青森山田対青森山田セカンドの一戦。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で便宜的に設立されたスーパープリンスリーグ東北にトップ、セカンドの2チームが参戦した青森山田は、トップはAグループ、セカンドはBグループの1位になったことで、ファイナルは同じ高校の2チームが争うという、異例の決戦となったのだった。

 

「正直、やりづらさはありました。一番はトップのチームと同じサッカーをしてくるということ。自分たちがやろうとしていることをセカンドもやってくるので、そういう意味ではすごく難しい試合でした」

 

 こう語るのはMF松木玖生。昨年度は1年生ながら10番とのダブルエースナンバーの7番を背負い、高円宮杯プレミアリーグEAST、チャンピオンシップ制覇に貢献。昨年度の選手権でもファイナリストとなる原動力となった。

 

 今年、武田英寿(浦和レッズ)から10番を引き継いだ男は、この試合で降りしきる雨を吹き飛ばすように、鬼気迫る表情で強度の高いプレーを見せた。

 

「前半はセカンドの勢いが凄くて、飲み込まれる場面があった」と語ったように、全体練習では同じチームとして同じコンセプトのもとでトレーニングを積んできた仲間が、下克上を狙って襲い掛かってくる気迫は想像以上に凄まじかった。相手の勢いに戸惑いながらも、4-1-4-1の2シャドーの一角として出場した松木はセカンドの石橋岳大と鈴木遼の猛プレスを浴びても、得意のキープ力と展開力で攻撃を構築。守備面でも13分には石橋に猛然とタックルを仕掛けるなど、セカンドに負けない気迫溢れるプレーを披露すると、15分にはトップのファーストシュートを放った。

 

 そしてトップが均衡を破ったのは21分、FW名須川真光のポストプレーを受けたMF安齋颯馬に対し、松木がすかさず距離を詰めると、鮮やかなワンツーで安齋を裏に抜け出させる。そして安齋はワントラップから寄せて来たDFに引っ掛かってしまうものの、こぼれ球に反応して迷わずシュート。これが相手GKのファンブルを誘う形でゴールに吸い込まれた。

 

 1-0のまま迎えた後半、「ボールへの関わりが少なかったし、前線でもうまく収まっていなかったので、後半は中盤から作っていくべきだと思った」と言う松木は、中盤に落ちてボールを受ける回数を増やした。ディフェンスラインからのパスを受けて攻撃を組み立てるだけではなく、攻守におけるセカンドボールの回収をやり続けるなど、前述した通りプレー強度を落とさなかった。


「どの試合でも『こいつは違うな』と思わせるようにならないといけない」

 

 

 後半アディショナルタイムには右CKを得ると、松木がファーサイドでフリーになった浦和レッズ内定のCB藤原優大にドンピシャのキックを送り込み、試合を決定づける2点目を演出する。

 

 松木の全ゴールに絡む活躍で、トップが追いすがるセカンドを2-0で振り切って、スーパープリンスリーグ東北の王者に輝いた。

 

「絶対に勝たないといけない試合だったので、勝てたことにはホッとしています。でも、青森山田の10番である自分がゴールを決められなかったことは、次への課題として受け止めていきたい」

 

 試合後、安堵の表情は浮かべるも、自身の出来には不満があった。東北王者に輝いたとは言え、例年であればプレミアリーグで毎週のようにハイレベルな戦いを経験することができたはず。だからこそ、今年はその経験を詰めない分、例年以上に自分を律する気持ちと向上心が求められる。

 

「どの試合でも『こいつは違うな』と思わせるようにならないといけない。すべては自分次第だと思っています」

 

 これで残すは選手権のみ。今年は最初で最後となる全国の舞台での躍動を心待ちにしながら、自分を奮い立たせる。彼の鋭かった目つきはさらに鋭くなった。

 

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

 

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